トルク制限
三菱モーションでCHGT命令でのトルク変更やサーボプログラム中/パラメータブロックでのトルク制限値指定は、一般的に言われる広義の「トルク制御」ではなく、「トルク制限」だけを行う狭義の「トルク制御」と呼ぶべきもの。
位置決め命令や、速度制御(VF/VR)にトルク制限値100%未満でクランプさせると、溜りパルスがどんどん増えていって、最後には「誤差過大」(溜りパルス過大)エラーになる。 よって、巻物やローラーにこれは使えない。
速度制御2(VVF/VVR)は溜りパルスを無視する運転なのでトルク制限で巻物に使えそうな気がする(?当方実績なく不明)。
仮想モードで出力モジュールに「ローラー」を選べばどうなのか、これも当方実績なし。たぶんだめでしょう。
三菱のトルク制限の落とし穴
バウンド現象
これは意外と知られていないが、「モデル適応制御」という制御を行っているためか、小さめのトルク制限値にて位置決め位置の直前で早い速度で当て止めすると、バウンドすることがある。 物の反動で跳ね返るのではなく、制御が振動する。
このバウンドを防ぐには、
- 位置決め位置をもっと奥深くするか、当て止め速度を遅くする。
- トルク制限値(定格トルクx%)を大きめにできるように、サーボモーター容量を小さくする。
- または、トルク制御モードを有する 用途別「Y03」OS(カタログ外品)を採用する。(裏技で位置制御も可能)
- モーションをあきらめ、AMPのトルクモードでアナログ指令で運転する。(位置制御は困難)
しかないでしょう。。
戻すとき
- 位置決めによる当て止めなど、溜りパルスが残っている状態では動作が完了しておらず、次の位置決めが開始できない場合があった。 一旦「停止」をかければ戻せたか、、サーボオフが必要だったか。
- 戻し速度を、押し当て時の速度より速い速度で行うと、振動することがあった。
位置データの揺れ
三菱のSSC-Netは、AMPからの戻りデータに「実現在値」を持たず、「溜りパルス」のみ。 モーション内部で、
という計算で求めた値を、実現在値としているだけ。
このため、トルク制限であて止めを行うと溜りパルスのフィードバックの遅れから、実現在値が(実際には動いていないのに)ふらつくことがある。
これもバウンド現象とは切り離せない問題かもしれない。
以上、トルク制限は要注意。。